Vo.5 さまざまな検査
【検査のこと】
「Vol.2 不育症」でも少し書いていますが、様々な検査をしました。
ここでご紹介するのは、主に母体側の環境の検査です。
数少ない貴重な胚を移植する前に、受け入れ側の環境を万全にすべく、有効と判断した検査を受けました。
・EMMA/ALICE検査
これは近年ポピュラーになってきたので、ご存じの方や聞いたことがあるという方も多いかと思います。
アイジェノミクスという検査会社が行っています。
私の通っていたクリニックでは、EMMAとALICEがセットで6万ほどでした。
1.EMMA検査=子宮内膜マイクロバイオーム検査。子宮内の細菌叢をみるもの。
近年の研究で、子宮内膜の細菌叢のバランスが崩れると、ARTの治療成績不良に関連することが明らかになりました。
「乳酸菌(ラクトバチルス)が90%以上、少なくとも60%以上あると、着床をはじめとする不妊治療の成績が良くなる」との研究結果がある中で、私はラクトバチルス0%、ガードネレラ(着床を阻害する)が95%という結果が出たため、その直後に予定していた移植を延期することになりました。
この「乳酸菌(ラクトバチルス)が90%以上、少なくとも60%以上あると、不妊治療の成績が良くなる」というのも、賛否あるようですが、私の場合は「ラクトバチルス0%」だったので、移植の前にこの検査を受けたことは有効でした。
そのまま移植しなくて本当に良かったと思っています。
2.ALICE検査=感染性慢性子宮内膜炎検査。
ALICEも近年よく聞くようになった検査ですが、これは慢性子宮内膜炎の検査ではなく、慢性子宮内膜炎を引き起こす可能性のある細菌を検出する検査です。
そういった細菌があっても慢性子宮内膜炎でない場合もありますし、そういった細菌がなくても慢性子宮内膜炎の場合もあります。
したがって、ALICEでは慢性子宮内膜炎の診断はできないため、ALICEの有用性は現在のところ明らかにされていません。
このため、私の通っていたクリニックで担当医もALICE検査は不要と考えており、私もEMMA検査のみ受けたかったのですが、クリニックのメニュー上EMMAとALICEがセットになっており単体では受けられないようになっていたので、不本意ながら両方受ける形になりました。
(採取した検体を同じ検査会社の各検査に出すので、検査自体は1回で終わります)
・慢性子宮内膜炎検査(=BCE検査)
慢性子宮内膜炎を診断するために、子宮内膜を採取してCD138細胞の免疫染色を行う検査が「慢性子宮内膜炎検査(=BCE検査)」です。
通常、排卵後数日以内に行いますが、生理終了後数日以内に行うクリニックもあり、施設によりさまざまです。
私はこの検査では異常所見はなかったため治療もありませんでしたが、異常が認められた場合抗生剤を2週間内服します。
多くの場合はそこで治りますが、治らなかった場合は再度別の抗生剤を服用します。
抗生剤で治らない難治性の場合は、内膜の掻爬や腹腔鏡手術といった外科的手段で治療する場合もあります。
・子宮鏡検査
こちらも慢性子宮内膜炎の検査です。
生理終了から排卵までの間に行います。
子宮内にスコープという細くて柔らかい管を入れ、ポリープや筋腫などの異物や、形態異常がないかをチェックします。
使用するスコープは細くやわらかいので、検査に伴う痛みは少なく麻酔も必要ないため、入院の必要もなく短時間で終わります。
発赤、微小ポリープ、浮腫などがないかを子宮鏡にて観察します。
陽性の場合は、BCE検査と同様の治療を行います。
・子宮収縮検査
これはあまり一般的ではないと思うので、ご存知ない方が多いのではないでしょうか。
移植の際子宮が収縮すると着床率が下がるため、収縮していないかを調べる検査です。
私はこの検査では問題ありませんでしたが、収縮している場合には、移植の際に薬を飲んで収縮を抑えます。
検査自体はエコーで数分間様子を見る、という簡易な方法なので、すぐに受けられました。
厳密に検査するなら、MRIを受けるのが理想のようなのですが、そこまでするケースはほとんどないようです。
・Eos(好酸球)の検査(採血)
Eos(好酸球)は、アレルギーと関連の深い白血球の種類のひとつです。
これも不育に関わるもので、あまり知られていないと思いますが、この数値が高いと、着床やその後の発育を阻害します。
私も第一子治療時には特に高値ではなかったため認識していなかったのですが、第二子治療時にこの数値が高くなり、そのせいかは分かりませんが良好胚盤胞移植が不成功に終わりました。
原因はもちろん確認しようがないので、移植した胚盤胞自体が正常胚でなかった可能性もありますが(PGTA等は実施していませんでした)、着床しhCGも途中までは伸びたものの、下がってしまい継続しませんでした。
移植前にEos高値と診断された際に、抗アレルギー薬を飲みましたが、私には合っていなかったようで数値を下げることができないまま移植してしまったので、今でも後悔しています。
その後自身に合った抗アレルギー薬を服用し続け、数値を下げて移植に臨みました。
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